松本市が掲げる「健康寿命延伸都市・松本」 新たな官民連携のあり方を提案 「健康パスポートクラブ」で市民参加を促す

2019年03月27日
 松本市が取り組んでいる「松本ヘルス・ラボ」が、新たな官民連携の試みとして注目されている。
 市民の「いつまでも健康でいたい」「健康づくりのソリューション創りに参加したい」という思いと、企業とのコラボレーションにより、「健康寿命延伸都市」の実現を目指している。
保険制度・行政と企業のサービスの循環を活性化
 超少子高齢と人口減少を迎えた日本で、「健康寿命の延長」「予防」「医療費の削減」「生活の質の向上」「ソーシャルキャピタルの形成」などの社会的課題がますます重要となっている。

 松本市が取り組んでいる「松本ヘルス・ラボ」は、保険制度内の医療・介護サービスや行政主導のサービスと、運動指導や栄養指導といった民間が手掛ける健康サービスの両方に取り組み、循環を活性化させようという試みとして全国的に注目されている

 「松本ヘルス・ラボ」は、市民との協働で健康産業創出を目指す一般財団法人だ。松本地域を中心に、住民参加型で健康的な地域づくりを目指す官民連携の団体として、2015年に発足し、松本市をはじめ長野県、松本商工会議所などが参画している。

 市民の「いつまでも健康でいたい」「健康づくりのソリューション創りに参加したい」という思いと、社会課題を考える企業とのコラボレーションにより、健康づくりと産業創出の両面を実現しようとしている。

関連情報
市民が参加し健康・医療・介護の新たな産業を創出

 同ラボは、市民が日々の生活で感じる「こんな製品やサービスがあったら」という考えをヒアリングし企画開発。企業に具体的な製品・サービスづくりを提案してもらい、健康・医療・介護分野の新たな産業創出を目指す。

 市民を対象に会員組織「松本ヘルス・ラボ 健康パスポートクラブ」も設けている。参加すると、定期的な健康チェックと健康増進プログラムによる自身の健康づくりに加えて、地域の健康産業のイノベーションを推進する活動にも協力できる。

 「市民と企業が一緒に『健康価値』を創造する仕組み。自身の健康について意識を高めることができ、松本で新たな健康産業を創出できる」と、同ラボでは述べている。

 ウォーキングやラジオ体操の講座など、運動習慣を根付かせる地域活動も展開。健康に関連した商品を手掛ける企業に対して、市民が実際に使用して意見を述べる場も設けている。
ウォーキングと睡眠で健康づくりと産業創出
 2017年に開業した「イオンモール松本」では、施設内の全長1.3kmのコースで歩き方を教えるイベントを開催。ショッピングも兼ねた参加者は、専門家のアドバイスを聞き、1時間程度のウォーキングを楽しめる。

 同年には、帝人と共同で行った、スマートフォン用アプリを使用した睡眠調査の結果を公表した。

 同社が共同開発した睡眠管理アプリ「オハログ」を使用。同ラボの会員85人を対象に実施し、アンケートに回答した49人のデータを解析。

 スマートフォンで提供する「睡眠日誌」「快眠のコツ」といったコンテンツに、睡眠を改善する一定の効果があることを実証した。
血糖値・尿酸値について調査
 2018年3月現在、森永乳業と松本短期大学と共同で、血糖値・尿酸値などと生活習慣との関連を調べる研究への参加者を募集している。

 対象は、松本市近郊に住む20歳?74歳の男女。説明会へ参加することで、特典として「健康パスポートクラブ」の2019年度の年会費(3,000円)が無料になるほか、森永乳業の製品やオリジナルトートバッグが進呈される。

 血糖値の高めの参加者は、同社の植物由来成分配合食品摂取による血糖値低下作用の効果検証に参加でき、尿酸値が高めの参加者は、同社のペプチド配合食品摂取による尿酸値低下作用の効果検証に参加できる。

 期間は5月から来年3月で、1日4錠の試験食品摂取を6ヵ月間続け、認知機能検査を受ける。

 3月30日、31日には、健康知識について分かりやすく解説する関連セミナーも開催。30日は「ご存知ですか?あなたの血糖値、尿酸値」、31日は「楽しみながら糖尿病を予防する5つのコツ 意外と知らない尿酸を下げるヒント」と題した講演会を行う。いずれも参加無料。
「松本地域健康産業推進協議会」を設立
 市は2011年に、菅谷昭市長を会長に「松本地域健康産業推進協議会」を設立。健康寿命の延伸を産業化により下支えし、持続可能な社会システムの構築を目指している。参加企業は350社を超えた。

 健康に関する情報や投資、人が集まるという好循環により健全な地域経済を創り出す「松本ヘルスバレー」の実現を目指し、企業、学術、行政が一堂に会するプラットフォームとして活動している。「松本ヘルス・ラボ」はその一環として位置付けられている。

 菅谷昭・松本市長は「健康パスポートクラブは、健康チェックや健康増進プログラムへの参加により、市民の日々の健康づくりをサポートする。その上で、企業の製品・サービス企画開発への協力を通じて、健康産業を育てて。市民一人ひとりが健康でいきいきと暮らせる、健康寿命延伸都市・松本を実現したいと考えております」と述べている。

松本ヘルス・ラボ
健康寿命延伸都市・松本(松本市)
松本地域健康産業推進協議会

[Terahata]
  
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