座ったままの生活で死亡リスクは上昇 「1日30分、体を動かそう」

2019年06月19日
 日常生活の中で座って過ごす時間が長過ぎると、死亡リスクが上昇するという研究結果を、米コロンビア大学医学部の研究チームが発表した。
 「少なくとも1日30分は、立ち上がって体を動かすよう、生活スタイルを見直すべきです」と研究者は述べている。
坐ったままの生活は糖尿病や心疾患のリスクを上昇
 座ったまま過ごす時間を少しでも減らすことで、2型糖尿病や心臓病、がんなどの死亡リスクを減少できることが、米コロンビア大学の研究で明らかになった。

 たった1日30分の時間を軽い運動にあてるだけで、死亡リスクを大幅に減少できるという。この研究は、医学誌「American Journal of Epidemiology」に発表された。

 多くの人が人生の時間を座ったまま過ごすことに費やしている。職場で働くときも、自宅でくつろぐときも、車などでの移動中も、基本的に座ったまま過ごす時間が長い。米国人は平均して1日に11〜12時間を座ったまま過ごしているという。

 座ったまま過ごす時間や頻度が多いと、運動不足や運動器の能力低下、心肺機能の低下などが引き起こされることは、過去の研究でも報告されている。

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座ったまま過ごす時間は1日12時間超
 一方で、座業中心の時間について考えるとき、体を動かさないで坐ったまま過ごす時間を、毎日どれくらい減らせば良いか詳しくは分かっていなかった。

 そこで研究チームは、米国立衛生研究所(NIH)が出資して実施されている地域別、人種別の脳卒中研究プロジェクト「REGARDS」のデータを使い、45歳以上の男女7,999人の日常動作を、平均4年間にわたって追跡して調査した。

 研究チームは、対象者の腰に加速度センサーを装着してもらい、座って過ごす時間の長さを1週間にわたり計測した。

 その結果、座業中心の時間は平均すると、参加者が起きて活動している時間の77%を占めることが明らかになった。これは、時間にすると1日あたり12時間を超えている。
座ったままの時間を1日30分減らすと死亡リスクが減少
 調査した結果、座ったまま過ごす時間を1日に30分減らし、軽い運動や身体活動を行うことで、死亡リスクを17%減少できることが明らかになった。軽い運動とは、歩き回ったり、体を動かす必要のある雑用をすることなどが含まれる。

 さらに、1日に30分を中強度から高強度の運動に費やすことで、死亡リスクは35%減少することが分かった。これらの運動に、ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどが含まれる。

 しかも、30分間常に動かなければならないわけではなく、座っている時間を細分化し、たった1〜5分という短い間隔でも立ち上がって体を動かすだけで、死亡リスクの減少を期待できるという。
30分ごとに立ち上がって体を動かそう
 「効果的なのは体を動かす時間を少しでも増やすことです。1日を見直して、座ったままでしたりじっとしている時間を全体的に減らすべきなのです」と、コロンビア大学医学部のキース ディアス氏(行動医学)は言う。

 ディアス氏は、1日の座ったまま過ごす時間を30分単位で分割し、うち少なくとも1単位を軽い運動をする時間に交換することを提唱している。

 「もしもあなたが長時間坐ったまま仕事や生活をしなければならないのなら、30分ごとに休憩をとり、体を動かすことをお勧めします。そうした行動変化によって、死の危険性を減らすことができます」と、ディアス氏は言う。
座ったままの時間を減らすと糖尿病や心疾患のリスクが低下
 英国のクイーンズ大学などが約80万人を対象に実施した研究でも、長時間座ることにより2型糖尿病や心臓病、がんなどの死亡リスクが上昇することが明らかになっている。

 座ったままの時間を減らすだけで、2型糖尿病の17%、心血管疾患の5%を予防することができるという。座ったままの時間が長いと、がんの発症リスクも上昇する。改善することで、大腸がんの9%、子宮内膜がんの8%、肺がんの7.5%を予防できる。

 「座ったままの時間が長い生活スタイルによって、英国だけでも、2016年に約7万人の命が失われました。生活スタイルを変えることで、死亡を回避できた可能性があります」と、クイーンズ大学の公衆衛生センターの主任研究員であるレオニー ヘーロン氏は言う。
座ったままの時間を減らすアイデア5選
 座るという行動が健康に影響を及ぼす仕組みは十分には解明されていないが、坐り続けることで「運動器の能力が低下する」「インスリン感受性が低下する」「消費カロリーが低下する」「心肺機能が低下する」など、さまざまな影響がもたらされると考えられている。

 運動をすると筋肉が収縮し、細胞のブドウ糖の代謝を制御するATPという物質が活性化する。しかし運動不足が習慣化すると、ATPを作り出すミトコンドリアの活性と量が減少してしまう。

 工夫次第で、座ったままの時間を減らすことができる。たとえば、
▼パソコンは机に置かずファイルキャビネットに置いて、立って操作する、
▼会議や打合せは立ったまま行う、
▼ランチの後はなるべく歩く、
▼外出するときには、なるべく座らない、
▼夜はテレビを立ったまま見る
――といった工夫を積み重ねれば、立ったまま過ごす時間を増やすことができる。

 「乗用車で移動するのが習慣となっている人が、移動を徒歩や自転車で済ますように切り換えるだけで、生活は多く変わっています。立ったまま過ごす時間を増やすことで、毎日30分の運動を習慣化することもできます」と、ディアス氏はアドバイスしている。

 自宅での余暇時間も油断はできない。多くの人が、仕事を終えて帰宅し、テレビの前で夕食を食べている。夕食は1日のなかでエネルギー密度がもっとも高いことが多い。

 「運動不足と高カロリーの食事が組み合わさると、ことのほか有害です。ソファーに座ってテレビをずっと見続けること自体が体に良くないのです。立ち上がって、体を動かすことをこころがけるべきです」とアドバイスしている。

Physical Activity, Any Type or Amount, Cuts Health Risk from Sitting(コロンビア大学 2019年1月14日)
Potential Effects on Mortality of Replacing Sedentary Time With Short Sedentary Bouts or Physical Activity: A National Cohort Study(American Journal of Epidemiology 2019年1月14日)
Light activity may lower harmful effects of sitting(米国立衛生研究所 2019年2月5日)
Queen's research shows sedentary lifestyle linked to 70,000 deaths per year in the UK(クイーンズ大学 2019年3月26日)
Direct healthcare costs of sedentary behaviour in the UK(Journal of Epidemiology & Community Health 2019年3月26日)

[Terahata]
  
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