なぜ運動は必要か
  1. 現代の私達は、便利さやスピード、肉体労働からの解放をひたすら追求してきた文明の恩恵で、日常の運動(身体活動)量は激減しましたが、飽食の時代とあいまり、運動不足病→成人病→生活習慣病→「メタボリックシンドローム」、といった疾病構造を生み出しましたが、運動することでメタボを予防・改善できます。(下のグラフ参照)

  2. 戦後の60年間で日本の平均寿命は約30歳も伸延し、これは大変素晴らしいことですが、急速な高齢化社会が進展し、脚腰などの運動器の障害で被介護生活を余儀なくされる、「ロコモティブシンドローム」も国民病として深刻な問題となっていますが、運動することでロコモを予防・改善できます。

  3. ストレスに起因した「心の病」が急増し、平成23年7月に厚生労働省は、患者数が323万人と急増し社会問題にもなっている精神疾患を、これまでの「4大疾病」に新たに加えて「5大疾病」として、重点的な対策を進めていくことを決めましたが、うつ病などの精神疾患の予防・改善にも運動が有効であることが報告されています。適度な運動習慣により、免疫活性が高まることも報告されており、ストレスの健全な解消法として、心の病にも体を動か すということが心身のバランスを保つ上で大変重要です。

 これらの健康問題を解消するためには、運動習慣を、ごく自然に当たり前に生活化することが大変重要なのですが、「運動」というと、今だ、きつい、苦しい、時間がない、面倒、疲れる、苦手などといったネガティブなイメージが先立ち、敷居が高くなってしまっているのが現状です。しかし、本来、「運動」とは毎日の生活そのものであり、通勤したり、家事をしたり、暮らしの中で体を動かす身体活動すべてが“運動”そのものであり、それらを積極的に実践するだけでも十分に健康増進効果が得られることが分かっています。
 こうした、運動に対する誤った思いこみを捨て去り、体を動かすことは、私たち人間にとって本能的欲求であり、心と体を快適・爽快にし、身体機能の維持向上や代謝、内分泌、自律神経などの本来のはたらき(恒常性ホメオスタシス)を正常に保つために必要不可欠な機能維持方法、メンテナンス方法といった意味付けに変えていただく必要があると思います。
 これからの長寿社会を、より多くの方が、最期まで充実して、明るく、楽しく、幸せに生活にするためにも、毎日、無理なく、適度に、バランス良く、正しいやり方で、運動を生活に取り入れることは大変重要なことです。

「身体活動量」と死亡率の関係
○身体活動量の多い人は、癌、血管系疾患の死亡リスクが少ない

厚生労働省研究班「多目的コホート研究(JPHC研究)」

●死亡原因となっている、3大疾病、がん、心臓病、脳卒中、いずれも、男女とも、1日の「身体活動量」が多いほど、3〜4割程度死亡リスクが低くなることが報告されています。